突然ですが、VMwareのVADPとVDDKについて記載します。
この2つの用語について曖昧に理解していましたので改めて整理します。
VADP : VMware vSphere Storage APIs – Data Protection
仮想マシンを保護したい場合に、APIを利用して仮想マシンをバックアップすることができる仕組み。
VMware vSphere のスナップショット機能を活用し、仮想マシンのダウンタイムなしで仮想マシンをまるごとバックアップできる。
仮想マシン内へエージェントインストールが必須でなく、CBTを利用した差分バックアップもできる。
詳細は以下を参照。
https://kb.vmware.com/s/article/1021175?lang=ja
一方でVDDKは、VDDK : Virtual Disk Development Kitの略。
VDDKはVMware社が提供しているSDKであり、主にバックアップソフトウェアベンダーが利用してバックアップソフトに組み込んで利用する。バックアップソフトをゼロから作ることを考えるとソフトベンダーは開発が楽で、VADPバックアップの仕組みの中でVDDKが利用されている。
https://developer.vmware.com/web/sdk/7.0/vddk
VADPを使ったバックアップシステムを構築する際は、バックアップソフト側で対応するVDDKを選択する必要がある。バックアップソフト/vSphere/VDDKのバージョンすべてのコンパチビリティを確認する必要があり、適当に選択するとバックアップが正常にできなかったりメーカーサポートが受けられない事になりかねないので注意が必要。
なお、vSphereバージョンは年を追うごとに新しくなっていますが、VDDKについても同様に新しいものがリリースされています。
最新はVDDK7.0.3がリリースされていました。
詳細は下記に記載ありますが、地味に新機能なども記載されています。
たとえば、
Configurable NFC AIO buffers.
As of VDDK 7.0.3, users can configure asynchronous I/O buffers for NBD(SSL) transport. With high latency storage, backup and restore performance may improve after increasing NFC AIO buffer size.
とあるので、NBDモードにおけるバックアップスループットの改善のためにバッファサイズが調整されています。
NBDモードはいわゆるLANベースのバックアップですが、それ以外にも以下のモードがあります。
LAN (NBD) Transport Mode
SAN Transport Mode
HotAdd Transport Mode
上記はArcserve社の情報ですが、基本的にVADPであれば他社製品でも同様だと思います。
https://support.arcserve.com/s/article/202777085?language=en_US
https://support.arcserve.com/s/article/202092839?language=en_US
各モードごとに特性があるので、理解した上で設計しないといけないですね。
NBDモードは実装が簡単ですが、スループットが出しにくい傾向があると思うので、バックアップスケジュール要件によっては、HotAddやSANモードについても検討する。
今日はこれぐらいにしておきます。
2022/3/23追記
VADP/VDDK関連する事項を記載しておきます。
・VADPで仮想マシンリストアする際に、vCenter管理下にいるESXiの場合は、vCenter経由でしかリストアできない。ESXiを指定してリストアしようとするとvSphere側の仕様によりリストアに失敗する。
・上記に関連して、vCenter経由でリストアする際、仮想マシンの実データ転送はESXi<=>バックアップソフトウェア間で行われる。vCenterを実データが流れるわけではないのでvCenter負荷はそこまで気にしなくても基本的に大丈夫。